神奈川県、「ME-BYO®」商標登録までの道

神奈川県

「未病」という言葉、ご存知ですか?

こんにちは。
さっそくですが皆さんは、「未病」という言葉をご存知ですか?「未病」とは、検査や診察などを受けても異常は見つからないが、健康とも言えない状態のことを指します。言い換えれば、健康と病気を2つの明確に分けられる概念として捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものと捉え、このすべての変化の過程を表す概念ということです。今回は、この「未病」が「ME-BYO®」として商標登録されたという、興味深い話題をご紹介します。

神奈川県が始めた、新たな取り組み

日本は今までにない高齢化社会の時代を迎えています。神奈川県・千葉県・埼玉県・東京都は、かつての高度成長期に移住してきた人たちや、団塊世代の人たちが一気に高齢を迎えるため、全国平均を上回る勢いで超高齢化社会になっていくことが予測されています。
神奈川県が懸念したのは、このまま何の対策も行わずに将来を迎えた場合、医療や介護サービスの提供が追い付かなくなり、社会の仕組みが立ち行かなくなることでした。

医学が発達している昨今、病気にかかってからの治療法だけなく、生活習慣病などになったり介護が必要な状態になったりするプロセスが明らかになってきており、予防法が次々と編み出されています。神奈川県はやがて迎える超高齢化時代に備えて、まだ病気ではないが健康でもない状態、「未病」を治す取り組みを県内の各自治体、企業や団体、そして県民と手を取り合って進めることに決めました。こうして2014年1月に提唱されたのが「未病を治すかながわ宣言」です。

この宣言への賛同を呼びかけ、多くの企業や団体の参画を促し、新たな産業とすべく「未病」という言葉を積極的に発信し浸透させたいとの願いから、神奈川県はこの言葉の商標登録を目指しました。

「ME-BYO®」商標登録のいきさつとは?

「未病」の商標登録を目指した神奈川県でしたが、この言葉が商標登録されることは難しいと思われていました。なぜなら、「未病」は中国の古典書物に登場する言葉であり、医学用語としての側面を持っているからです。医学用語のように一般的に使われる言葉は、基本的に商標登録はできないとされています。理由は、このような言葉が商標登録されると、多くの人が困ってしまうからです。

2013年5月、神奈川県知事がアメリカを訪問した際、英語にない「未病」の概念を説明することになりました。そこで、県知事が「ME-BYO®」という言葉で「未病」を説明したところ、いい感じにアメリカ人の理解と興味が得られたのです。このことが発端で、神奈川県は「ME-BYO®」という言葉を、海外も含めて普及させブランド化させようと盛り上がり、商標登録するまでに至ったのです。

「ME-BYO®」は、従来の東洋医学の「未病」に「最先端の医療、最新技術を駆使して治していきたいもの」を融合させ、新たな概念として定義されました。そして神奈川県は、「ME-BYO®」というブランドおよび関連する産業を県内、日本国内、そして海外へと広めていくために、2014年1月に特許庁へ商標出願を行いました(同年6月に商標登録が認められる)。

※「ME-BYO®」は、「未病」の概念を広める目的であれば、神奈川県に書類を提出し審査に通れば使用できるとのことです。

商標登録、難しい言葉もあきらめないで!

神奈川県は、「未病」の商標登録は果たせなかったものの、新しい概念を持つ言葉「ME-BYO®」を生み出し、商標登録へと導きました。この「未病」の例のように、そのままでは商標登録が難しいと思われる言葉でも、表記の変更を行えば商標登録が可能になる場合もあります。

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