歌手の野口五郎氏が特許権取得

野口五郎の特許システム使ったライブテスト始動

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2800B_Y3A220C1000000/

ゲームソフトの開発などを手掛けるフォネックス・コミュニケーションズは、コンサートやイベント、講演会などのライブ映像を、イベントの終了後すぐに来場者がスマートフォン(スマホ)で視聴できるサービス「テイクアウトライブ(Take Out Live)」の正式サービスを開始した。

同サービスは、歌手の野口五郎氏が自ら発案したもの。基本となる特許を同氏が取得し、実際のサービス開発をフォネックス・コミュニケーションズが手掛けた。イベントの来場者にQRコードを印刷したカードなどを配布する。イベント後に、そのQRコードをスマホの専用アプリで読み取ると、当日のライブを視聴できる。ライブ映像は会場で録画し、終了直後にアップロードする。

2013/2/28 【日経経済新聞】

あの野口五郎さん!?

日本維新の会のロゴ

こんにちは。
iRify特許事務所・弁理士の河合光一です。

今回は特許の話題をお届けします。

さて、野口五郎が特許取得と聞いて、「あの野口五郎?」と思ったのは私だけではないでしょう。同姓同名の他人じゃないの???

いやいや、これがまぎれもなく歌手の野口五郎さんなのですよ。

【特許権者】・【発明者】として、本名の「佐藤 靖」が特許公報に掲載されています(特許第4859882号)。

特許権を持っているアーティスト:野口五郎

かっこいい~!

どんなサービスなの?

バツ

野口さんの企画の下、「特許第4859882号」のアイディアを用いて、株式会社フォネックス・コミュニケーションズが「テイクアウトライブ/Take Out Live」というサービスを提供しています。

「テイクアウトライブ/Take Out Live」は、コンサートやイベント等が終了したすぐ後でも、QRコード等二次元コードを読み込むことでライブ映像や楽曲などのデジタルコンテンツをダウンロードし、スマートフォンで閲覧できるサービス(本サービス自体は、特許出願中の段階)であるとのこと。

サービスの特徴として、ライブ終了後に販売されるQRコードと製造番号等の端末固有情報とを紐付け、QRコードを購入していない無権限者のアクセスを防ぐこと、また、QRコードのアクティブ時期を販売直前とすることにより、印刷段階から販売に至るまでの間の不正アクセスを防止できることが挙げられています。

小さくて場所を取らないQRコードであれば、ブロマイド等の紙類だけに留まらず、イベント会場で販売されているTシャツや団扇等の平面的グッズやマグカップ等の立体的グッズ等にも印刷できるので、多くの販売手段をとることができますね。

スマートフォンがこれだけ普及していますから、このサービスは本当に化けるかもしれません。

商標登録出願もしっかりと!

「テイクアウトライブ/Take out Live」というサービス名は、現在、商標出願中とされています。

特許庁のWEBページ(データベース)で検索したところ、この商標の情報はヒットしないので、出願されてからそれほど日が経っていないのでしょう。

ここで注目すべきは、「テイクアウトライブ/Take out Live」のサービスを開始する前に商標登録出願をきちんと済ませていることです。

今まで世の中にない新しいサービスや商品について使用される商標(サービス名・商品名)は、普通名称化しやすいことに注意しなければなりません。それ以外に何と呼べばよいかわからないことが多いですからね。

インターネットで情報が世界中に飛び回っている現代では、予想以上の速さで普通名称化してしまうことがあります。

普通名称化してしまうと、その言葉を最初に考えて使用し続けた本人であっても、商標としてその言葉を独占することができなくなってしまいます(商標法3条1項1号)。

消費者・需要者の反応を確かめてからという気持ちもわかりますが、世の中にない新しいサービスや商品に付する商標(サービス名・商品名)については早めに出願されることをお勧めします。

商品やサービスが有名になることは喜ばしいのですが、商標登録できない状態になれば、その商標を独占できずに、他人に自由に使用されてしまいます。こんな悔しいことはないですよね。

●おまけ●
「QR コード\QR Code」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です(登録第4075066号)。

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