世界遺産登録「富士山」、 富士宮市で商標登録への相談が激増中!

世界遺産登録された富士山
※ 写真はイメージです。

「富士山」が世界遺産登録!

こんにちは。

10月に入り、徐々に季節も秋めいてきたかと思ったら、その矢先の台風ラッシュ。
この時期になっても気温はなかなか下がらず、30度以上の真夏日を記録している地域も多いと言います。

気象庁は今年の夏も「異常気象」だったと位置づけていましたが、どうやら、この秋も随分と異常なお天気模様のようです。

備えあれば憂いなし、とはよく言ったもの。日頃から「異常気象」など災害に関する情報にはくれぐれも注意したいですね。

さて、皆さんは、以前に、このコーナーでお話したロシアのチェリャビンスク隕石の事件を覚えているでしょうか?

はるか遠い宇宙からの贈り物に関連した商標登録を行ってビジネスに活用しようとする、バイタリティ溢れるロシア人のお話でした。

今回は日本のシンボルである「富士山」が世界遺産に登録されたことで、富士山のネームバリューや形状を用いた商品開発、サービス展開をもくろむ事業者が増えたという話題について、私が感じるところをお話したいと思います。

http://www.at-s.com/news/detail/744823842.html (@S[アットエス])

世界遺産登録された影響

ご存知のように、6月22日、カンボジアの首都プノンペンで開催されたユネスコの世界遺産委員会は、富士山(山梨県、静岡県)を世界遺産に登録することを決定しました。
この決定は、政府が富士山の一部として推薦していた景勝地「美保松原」(静岡市)を含めての決定であり、地元の方にとっては待望のニュースだったのではないかと思います。

広く裾野を伸ばす雄大な姿、そして、その存在そのものに宿る気高い精神性。
この富士山が、日本および日本人を象徴する無比のものであるということは、異論の少ないところなのではないでしょうか。

古(いにしえ)より富士山を題材にした絵画や俳句、短歌や散文は枚挙に暇なく、優美で凛々しい姿とそこに内在する文化性は、国家のシンボルとしても広く深く人々に親しまれています。
世界の名だたる秀峰の中でも決して見劣りのしない、まさに日本の誇るべき名山ですね。

富士山の素晴らしさは、海外における知名度と評価にもよく表れています。おそらく、外国人が抱く日本のイメージは、富士山によって補完されている部分がとても大きいのではないでしょうか。

そう、「フジヤマ」ですね。

また、世界遺産登録という名誉を得た「富士山」は、もはやそれ自体が強大な「ブランド」だと言えるのかもしれません。

このように「富士山」の総合的なパワーはとてつもないものですが、「富士山」のお膝元の富士宮市では、「富士山」の商標を使って商売をしようとする事業者などからの相談が急激に増えているというのです。

具体的には、富士宮市に寄せられた富士山関連の知的財産の相談は、2012年度でなんとたったの2件。それが世界遺産登録前後から相談件数は見る見る増え始め、今年の4月から7月までの4ヶ月間だけで9件にも上ったということです。

日本人にも先のロシア人に負けないバイタリティがあることを窺い知ることができて、嬉しくなりますね。

「富士山」関連の商標を登録できるチャンスはある!

とはいえ、読者の方は疑問に思うかもしれません。

そう、「富士山」の文字やデザイン(ロゴ)を用いた商品やサービスって、すでに相当あるよね、と。

実際に、@S[アットエス]の記事では、特許電子図書館(IPDL)の統計を引き合いに出し、「富士」や「富士山」を用いた商標は出願中のものも含めると160件にも上る(7月18日現在)と伝えています。

やはり、さすがは富士山。その知名度にあやかろうと、すでにこれだけの数の商標が出願・登録されているのですね。

これでは、今から遅まきに「富士山」関連の商標登録を目指してみたところで、もはや他の人によって、似たような商標が登録されてしまっているんでしょうね、きっと…。
これは、諦めるしかないのでしょうか。う〜ん、分かりません。

さあ、そんな時は、iRify国際特許事務所の河合光一弁理士にご相談! 易しく教えてもらいましょう。
そういう訳で、河合弁理士、相談させてください。この場合、やはり「富士山」関連の商標登録は諦めた方が良いのでしょうか?

「いえいえ、諦めるのはまだ早いですよ!

そもそも、「富士山」関連の商標をビジネスで使用するのであれば、商標登録をする等のリスク管理をしないと、いつ商標権侵害の責任を負わされるかわかりません。

また、逆に、自社がブランドとして育てている「富士山」関連の商標を勝手に真似されてしまった場合でも、商標登録をしていなければ、相手方の販売行為などを止めさせることは困難になります。

さらに、横取りされて商標登録されてしまっては、たまりませんよね。

富士宮市は、こうした状況を踏まえ、7月下旬に市内の事業者向けに富士山関連の商標権の取得管理セミナーを企画したようです。

商標や商標登録の話は素人にとっては馴染みがないことも多く、自分で本やWEBなどで調べようにも専門的過ぎてわからないのではないでしょうか。そのため、このようなセミナーに参加して、専門家から直接説明を受けたり、相談にのってもらったりすることは極めて有効です。

セミナー講師を務めた東山弁理士は、『手をこまねいていると"富士山"がどんどん使われてしまう。隙間を抜く余地はまだあるので知恵を絞ってほしい』と述べています」

なるほど! それでは、まだ「富士山」関連の商標を登録できる可能性はあるということですね。

「そうです。ぜひ諦めずに、専門家に相談するなど、果敢に商標登録を目指していってもらいたいと思います」
河合弁理士、相談に乗ってくれて、ありがとうございました!

「富士山」関連の商標を使用した商品・サービスへの期待

さて、世界遺産登録を受け、さらに大きな「ブランド」となったとも言える富士山。

裾野が広いこの山の形状のように、「富士」や「富士山」を用いた商標が、幅広い商品やサービスに活用されることを期待したいですね。

そしていつの日か、「日本」が強く意識される、素敵な「富士山」ブランドが、世界へ羽ばたく日が訪れることを願っています。

それでは、今回はここまで。また、お会いしましょう!

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